小野不由美のファンタジー小説「十二国記」。
現在、新潮文庫から最新刊「白金の墟 玄の月」まで出版されており、既刊は書籍の帯にEpisode 0 ~ 8 までのナンバリングがされています。
ナンバリングされていれば、ナンバーに沿って読むというのは自然な流れと思っていました。
ところが、実際には「順番に読むのは読みづらい!」、「私の読み順はこうだ!」とナンバリングに対する反響があるようです。
1.「月の影 影の海」(上下巻)
2.「風の海 迷宮の岸」
3.「東の海神 西の滄海」
4.「風の万里 黎明の空」(上下巻)
5.「丕緒の鳥」
6.「図南の翼」
7.「華胥の幽夢」
8.「黄昏の岸 暁の天」
最新刊「白金の墟 玄の月」(全4巻)
読み順はあくまでも個人の自由だと思います。
そこで、今回は「順番に読むのは読みづらい!」という反響について、「読みづらい」と想定される理由ごとにオススメの順番を考えます。
※極力、具体的な内容についてのネタバレはないように心がけます。
十二国記 順番 読みづらい人にオススメの順番!オススメの読む順番
十二国記を「読み順」や「挫折」といったキーワードで調べてみると、「魔性の子」や「月の影 影の海」が作品名として挙がってきます。
そこで、読みづらさの理由をピックアップし、読みづらさを解消するオススメの順番を考えます。
※特に言及しない作品については、新潮文庫のナンバリングに沿って読むことを前提とします。
ホラー小説が苦手!(「魔性の子」)
「魔性の子」は、ジャンルとしてはホラー小説に該当します。
そのため、「魔性の子」から読み始めると、そこで読むのをやめてしまうケースがあるようです。
この場合、「月の影 影の海」から「黄昏の岸 暁の天」までをナンバー順に先に読むことをオススメします。
十二国記の世界観と「魔性の子」の前提となる状況を知ることができ、「魔性の子」をホラーテイストとは異なったストーリー視点で読むことが期待できます。
ホラータッチの文章については、がんばって乗り越えてください・・・・・・。
一冊ずつしっかり理解したい!(「魔性の子」)
「魔性の子」には、十二国記の世界観についての具体的な説明の記述がありません。
そのため、ある程度の十二国記の前提知識を持って「魔性の子」を最初に読むと、消化不良を起こすケースがあるようです。
この場合、「月の影 影の海」から「黄昏の岸 暁の天」までをナンバー順に先に読むことをオススメします。
十二国記の世界観と「魔性の子」の前提となる状況を事前に知ることができます。
アニメ版「十二国記」と同じ流れが良い!(「魔性の子」)
アニメ版の「十二国記」を視聴していた場合、最初に「魔性の子」を読むと戸惑うのではないでしょうか?
アニメ版「十二国記」の話をたどる場合、まずは「月の影 影の海」→「風の海 迷宮の岸」→「風の万里 黎明の空」→「東の海神 西の滄海」の順にお読みください。(小説とアニメ版では内容に差異がありますのでご留意ください。)
この場合、「魔性の子」は、「黄昏の岸 暁の天」の後に読むことをオススメします。
「魔性の子」の前提となる状況を事前に知ることができます。
不遇な描写に耐えられない!(「月の影 影の海」)
「魔性の子」を飛ばして「月の影 影の海」から読み始めても、序盤の暗い展開の連続に挫折するケースがあるようです。
そんな時は「風の海 迷宮の岸」と「東の海神 西の滄海」、「図南の翼」を先に読むことをオススメします。
十二国記の世界観だけでも先取りしましょう!
「月の影 影の海」も読み進めやすくなることが期待できます。
不遇は、読み手も乗り越えてください・・・・・・。
十二国記 順番 読みづらい人にオススメの順番!魔性の子は最初か、黄昏の岸 暁の天のあとに読む
個人的には次のような判断基準をオススメします。
●全編を通しで読み進め、気になる点は都度読み返す読書スタイルなら最初に読む
●1冊ずつ丁寧に読み込む読書スタイルなら「黄昏の岸 暁の天」の後に読む
その理由は、「黄昏の岸 暁の天」を読むことで、「魔性の子」の作品内での出来事が「十二国記」の世界観や時間の流れで理解できるようになるからです。
気になったときに読み返す読書スタイルなら、まずは「魔性の子」を最初に読みます。
そして、「黄昏の岸 暁の天」を読んでいる際に「魔性の子」を思い出したり読み返したりして「そういうことか!」とスッキリ感を味わうのがオススメの読み方です。
1冊ずつ丁寧に読み込む読書スタイルなら、疑問を取り残さないように、「黄昏の岸 暁の天」の後に「魔性の子」を読むことをオススメします。
エゴとエゴがぶつかる複雑なファン心理
小説「十二国記」を誰かにオススメする際、「魔性の子」を読むタイミングについて悩んだり、意見が分かれたりする状況を見受けます。
そこには、前述の読書スタイルで判断した読み解きやすさの他に、「魔性の子」を小説「十二国記」の原点とみているか、外伝とみているかという位置づけの違いもあるように感じます。
次に挙げる見解は、あくまでも、それぞれの位置づけをする言動からの個人的な類推です。
●「十二国記」の世界は、「魔性の子」の背景世界として作られた
●作者自身が当初から「魔性の子」を「十二国記」のプロローグと位置づけ
●ホラー小説作家としての小野不由美に重きを置いている
●「魔性の子」は、他の小説「十二国記」作品と異なり、ホラーテイスト・ホラータッチの要素が強い作品
●基本的に十二国記の世界観についての説明がない
●「魔性の子」はもともと新潮社からの発行だが、その他の小説「十二国記」初期作品は講談社から当初発行
十二国記 順番 読みづらい人にオススメの順番!忙しい人は本編6エピソードだけって手も
「全編を通して読むのはちょっと」という方には、以下の本編6エピソードを読むことをオススメします。
1.「月の影 影の海」(上下巻)
2.「風の海 迷宮の岸」
4.「風の万里 黎明の空」(上下巻)
8.「黄昏の岸 暁の天」
最新刊「白金の墟 玄の月」(全4巻)
ここでも、「魔性の子」を読むタイミングは都度読み返すなら最初、1冊ずつしっかり読むなら「黄昏の岸 暁の天」の後です。
なお、上記に含まれない「東の海神 西の滄海」「図南の翼」は単独完結する外伝、「丕緒の鳥」「華胥の幽夢」は短編集です。
黄昏の岸 暁の天を読む前に冬栄だけは…
短編集「華胥の幽夢」に収録されている短編「冬栄」は、「風の海 迷宮の岸」と「黄昏の岸 暁の天」の間に位置する短編です。
「黄昏の岸 暁の天」を読み始める際にお手元に「華胥の幽夢」があるならば、先に「冬栄」を読むことをオススメします。
「黄昏の岸 暁の天」を、より興味深くお楽しみいただけるのではないでしょうか?
6巻先に読んだあとの外伝と短編集の順番
本編の後に外伝と短編集をお読みいただく場合、まずは、エピソードとして独立完結している外伝2つを先に読むことをオススメします。
この外伝2作は、十二国記の世界観として、本編の6エピソードでは詳しく描かれない部分の世界観も描かれているからです。
その場合、「東の海神 西の滄海」→「図南の翼」の順でお読みいただくことをオススメします。
作中での時系列順であり、共通する登場人物も存在するためです。
短編集の「丕緒の鳥」と「華胥の夢」については、本編と外伝の後でよいのではないでしょうか?
短編ごとに関連する本編・外伝エピソードがあるため、一概に「このタイミングがオススメ」とは申し上げにくいです。
十二国記 順番 読みづらい人にオススメの順番!まとめ
●小説「十二国記」は、原則、新潮文庫のEpisodeナンバリング順に読むことをオススメ
●「魔性の子」が読みづらい場合、「黄昏の岸 暁の天」の後に読むことをオススメ
●「月の影 影の海」が読みづらい場合、「風の海 迷宮の岸」や「東の海神 西の滄海」、「図南の翼」を先に読むことをオススメ
●「魔性の子」は、後から都度読み返せるなら最初に、そうでなければ「黄昏の岸 暁の天」の後に読むことをオススメ
●忙しいなら、まずは本編6エピソードだけを読むことをオススメ
●本編を読み終えたら、外伝を「東の海神 西の滄海」→「図南の翼」の順で読むことをオススメ
●本編、外伝を読み終えたら、2つの短編集を読むことをオススメ
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